04. サーバー選びで失敗しないコツ |
家は買ったほうがトクなのか? それとも・・・ 「これからWebサイトを立ち上げよう!」 と思っているなら、Webサーバーは必ず必要である。 さて、どうやってWebサーバーを手に入れるか? 主に、次のような方法があるので、自分に最適な方法を選んで欲しい。 1.プロバイダの無料スペース 2.共有レンタルサーバー(バーチャルホスティング) 3.占有レンタルサーバー 4.ハウジング 5.自前で構築する 各方法の詳細についてはこれから解説していくが、 まず、 「Webサーバーを借りること」 は、 「不動産屋に行って賃貸物件を借りること」 と同じだと考えて欲しい。 物件には、アパート、マンション、借家などいろいろあるし、 思い切って中古や新築の一戸建てを買うという選択もある。 Webサーバーもそれと同じことが言える。 そのために、まず、 『あなたは今、両親と一緒に実家に住んでいる学生です。 これから社会に出て、一人暮らしをしながら、 新しいビジネスを始めようと思っています。』 という前提で、以下の記事を読んで欲しい。 ------------------------------------------------- ■1.プロバイダの無料スペース ------------------------------------------------- 『一人暮らしってお金かかるし、家賃ももったいないなぁ。 だったら、このまま実家に居座って、自分の部屋で仕事すればいいや!』 あなたが現在加入しているプロバイダが無料で提供しているホームページスペースだ。 ほとんどのプロバイダでは、追加料金を払うことなく、誰でも気軽に使用できる。とりあえずホームページを持ちたい!という人には最も手っ取り早い方法であり、初心者にもお勧めだ。 『でも、親がうるさいから、いろいろ自由に出来ないことも多いし、 もっと広いスペースが欲しいな。』 そのとおり。実家に住めば金銭的には有利だが、いろいろ不自由なことも多いはず。だから、実家で満足できなければ、自分で部屋を探すしかない。 ちなみに、プロバイダの無料スペースは、そのほとんどが、 ・ 自作cgiが使えない ・ 自分が好きなドメイン名(URL)を自由に使えない ・ ハードディスク容量が小さい ・ データベースが組めない などの制限付きになっている。 だから、私が思うに、 「ホームページを作って、アップロードする練習」 程度の目的で使うのならお勧めだが、 本格的な商用サイトを構築したければ、 やはりもっと性能の良いサーバーを用意するべきだろう。 その一番の理由は「独自ドメインの使用」である。 今や、個人でも ○○.com △△.net など、自由に好きなURLを申請し取得できる。そのドメイン名は世界に1つしか無いから、早いもの勝ちだ。 (人気の出そうなURLを先取りして売りつけるという行為も横行している)。 Webショップは、取得したURLを宣伝して、いろんな人に覚えてもらうわけだから、早めに自分のURLを決めて、それをずっと使いつづけることが大切である。 少なくとも、自分のホームページアドレスにプロバイダのドメイン名が入っているのは、あまり嬉しくない。プロバイダを乗り換えたら、ホームページアドレスも変わってしまうからだ。 ---------------------------------------------------------- ■2.共有レンタルサーバー(バーチャルホスティング) ---------------------------------------------------------- 『よし、まずはアパートを探してみよう。そんなに広くなくてもいいし、 少しぐらいなら駅から歩いてもOK。これでやっと自由に何でもできるぞ!』 共有レンタルサーバーとは、1台のWebサーバーを、 複数の人間が共有して使うというシステムだ。 1つの建物に複数の住人が集まるアパートである。 あなたがこのシステムに加入を申し込むと、 そのWebサーバーのハードディスクに、 あなた専用のディレクトリ(フォルダ)が作られる。 そして、そのディレクトリには、あなた専用のURLが割り当てられる。 ○○○.com など、自分が好きなドメイン名を割り当てることも可能だ。 あとは、そのディレクトリにHTMLファイルを好きなだけ(容量が許す限り) アップロードすればいい。 現在、このようなレンタルサーバー(ホスティング)サービスを行なっている会社は、大手から小規模まで合わせると数百社以上存在する。その中から、最適なレンタルサーバー会社を選ぶだけでも、かなり大変な作業だ。 実際に賃貸アパートを探すときにも、家賃、部屋の間取り、広さ、駅からの距離、築年数、ペット可否、駐車場有無、などなど、いろんな条件がある。単に「家賃が安いから」というだけで選ぶと、後で後悔するのは目に見えている。 Webサーバーも同じ。月額使用料だけでなく、 設置場所(地域)、回線速度、バックボーン、安定性(故障が無いか?) CPUやOSの性能、ハードディスク容量、サポート体制、などなど、 いろんな条件を比較し、検討しなければならない。 ----------------------------------- ■3.占有レンタルサーバー ----------------------------------- 『アパートに住んでみたけど、やっぱり6畳じゃ狭いし、 隣に住んでるオバさんもウザい。管理人もうるさいし、ペットも飼えない。 よし、ちょっと家賃は高くなるけど、一戸建ての借家を探そう!』 1台のWebサーバーを自分1人で独占できるのが占有レンタルサーバーだ。 借家を一軒借りたら、その家にあるすべての部屋をあなたが占有できる。 当然、共有レンタルサーバーよりも月額使用料は高いが、 「共有ならではの悩み」を解決することができる。 例えば、共有レンタルサーバー(アパート)の場合だと、 もしあなたのアパートに木村拓哉が引っ越してきて (有り得ないが・・・) かつ、その住所がワイドショーで公表されたらどうなるか? 毎日毎日、あなたのアパートには大量の「追っかけ」が集合し、 玄関も階段付近も駅までの道も人だらけ・・・たまったものではない。 つまり、共有レンタルサーバーの場合、あなた以外の「超人気サイト」が、そのサーバーに入ってきてしまったら、そのサイトへのアクセスだけが一気に増えるので、結果として他のサイトへのアクセス通信速度や応答レスポンスに悪影響を与えてしまう。 最悪の場合、あまりのアクセスの多さに耐え切れずに、 サーバー自体がダウンしてしまうことも有り得る。 cgiプログラムの暴走なども考えられるからだ。 これが共有サーバーならではの「悩み」の1つだ。 もちろんそうなれば、アパートの管理人は、木村拓哉に対して 「迷惑だから出て行って!」と言うだろう。 同じように、レンタルサーバー会社も、 あまりにアクセスの多いサイトには警告する場合があるし、 アクセス量に応じて追加料金を請求するところさえある。 でも、無用なトラブルに巻き込まれるのは避けたいし、 もしあなたのサイトが大ブレイクしたら、 今度はあなたが引っ越すハメになることも忘れずに。 ----------------------- ■4.ハウジング ----------------------- 『もう賃貸じゃイヤだ。マンションを買いたい! 交通の便利が良い駅前の高層タワーマンションを手に入れるぞ! 高層タワーマンションなら、地震や火災対策も万全で安心だ!』 前述した2.および3.のようなレンタルサーバーの場合、 それが共有だろうが、占有だろうが、 サーバー自体はレンタルサーバー会社の所有物であり、 設置場所はレンタルサーバー会社が管理するビル内だ。 だから、どんなに長く利用し続けても、しょせんレンタルなのだから、 そのサーバーは永遠にあなたの所有物にはならない。 それに対してハウジングとは、 「サーバー自体はあなたの持ち物だが、 そのサーバーを設置する場所(スペース)は、 どこかのサーバー会社に貸してもらう」 というシステムである。 だから、サーバー本体の購入や構築は、あなた自身で実施し、 そのサーバーを、どこかのサーバー会社に持ち込んで 「置かせてもらう」ことになる。 例えば、駅前の高層タワーマンションを購入した場合、 マンションの部屋そのものは、あなたの所有物だ。 しかし、エレベーターやロビー、駅までの通路のような、 外に出るための、言わば「通信回線」は、そのマンションの住人みんなで 共有して使うことになる。 ようするに、ハウジングとは、 「サーバー本体は自分で作れるが、 自宅に置くスペースが無く、高速な回線も引けない」 という人に向いている。だから、 高速回線を持っている会社にお金を払って「置かせてもらう」のだ。 さらに、火災、停電、地震、水害、防犯対策など、 あなたの自宅では防ぐのが難しい問題も、ハウジングなら気にしなくて良い。 ハウジングサービスを実施している会社は、 レンタルサーバーのサービスも併用して行なっているのがほとんどで、 それら全てのWebサーバーを設置するための専用のビルを所有している。 そこは、多重電源装置(停電になってもすぐ予備に切り替わる)とか、 耐震構造とか、入室管理セキュリティーとか、いろんな面で、 「24時間365日、サーバーが安定稼動できる状態」 を保つために設計されている。 だからこそ、自宅には無い「安全」が有る。その代わり価格が高いのだ。 だから、あまりに安すぎるハウジングやレンタルサーバーは、 「どんな場所に設置してるのか?」が非常に怪しいので、注意が必要だ。 ----------------------------- ■5.自前で構築する ----------------------------- 『マンションだと管理費がかかるし、エレベーターも豪華なロビーも無駄だ。 どうせ買うなら、いつでも勝手に増改築できる一戸建てのほうがいい。 駅からは遠くなるけど・・・』 自分でWebサーバーを作って、自宅または自社オフィスに置く。 こうすれば、レンタルサーバー会社にお金を払う必要も無いし、 サーバーの増改築も、回線増設も、なんでも思いのままだ。 しかし、自宅や自社に高速回線を引くためには、通信事業者と契約して、 回線工事を施す必要もあるし、安定化やセキュリティの面も 十分に考慮しなければならない。 地震、火災、停電、部外者の侵入など、 Webサーバー装置を物理的に守る手段も、 すべて自分で考えて準備しなければならない。 もちろんWebサーバーに詳しい人材を確保しなければならないので、 初期構築から保守まで、その運用における人的コストも考える必要がある。 そして、初期構築においては、その将来性を考え、入念に設計しなければならない。例えば、あなたが新築の家を建てる場合、 『将来、子供が生まれた時のために、部屋は最低4つは欲しい。 けど今は夫婦二人だから必要無いしなぁ・・・』 とか、いろいろ迷うだろう。 Webサーバーも、 「将来、どのくらいのアクセス数が来るか?」 「1つのアクセスあたり、どのくらいのデータをダウンロードするか?」 が予測できないと、はたしてどの程度のスペックが必要なのか分からない。 実は、これを考えるのはとても難しいことだ。ある意味ではギャンブルである。 『家族が増えてから、部屋を増築すればいい』 と思うかもしれないが、Webサーバーの場合、そう簡単には行かない。 Webサーバーを増設するということは、 パソコンの電源を落とし、メモリを増設し、ハードディスクを増設し、 OSをアップグレードして、再起動しなければならない。 その作業が終わるまで、誰もあなたのサイトを見ることはできない。 「サーバーが見つかりません」状態だ。落ちているのだ。 もしあなたのサイトが1日に数万アクセスを誇る巨大サイトの場合、 「落ちている」時間が長ければ長いほど、その損失は莫大なものになる。 そして「一度落ちたサイトは、その信頼も落ちる」のだ。 かなりのイメージダウンなのだ。 もし Yahoo! が1時間停止したら、 その影響を受ける人は全国で何十万人いるだろうか・・・ それに対して、レンタルサーバーの場合は、 いつでも他のサーバー会社に乗り換えることができるし、 今まで使っていたURLがそのまま引き継がれるから、 訪問者への影響も無い。 つまり、賃貸物件なら、いつでも広い部屋に引っ越すことができるのだ。 こうなると、 結局、レンタルのほうが得なのか? という話しになるが、それも一概に言えない。 例えばアダルトサイトを運営したい場合、 ほとんどのレンタルサーバー会社が貸し出しを拒否するケースが多いから、 自前でサーバーを作るしかない。 また、映像ストリーミング配信などをやるために、 数十G(ギガ)バイトの大容量ハードディスクが必要な場合も、 レンタルより自前のほうが割安になることが多い。 なぜなら、一般にレンタルサーバーの月額使用料は、 ハードディスクの容量に比例して高くなるからだ。 ------------------------------------- ■ようするに、どれが一番トクなの? ------------------------------------- 以上、Webサーバーの選び方と注意点について述べたが、 「どれが一番トクですか?」 という問いには、残念ながら答えられない。 ・ 家を買うのは得か、損か? ・ マンションと一戸建て、どっちが得か? という議論と同じで、明確な答えなど無い。 家賃を毎月ドブに捨てるのはもったいないが、 住宅ローンを組んで高い金利を銀行に払うのも同じくらい無駄。 一戸建てなら庭付きで、何でも自由にできる! でもオートロックのマンションより防犯性は低い。 だから、Webサーバー選びは、 あなた自身が最適なものを自分で選べるようになる しかない。 成功のポイント : あなたのライフスタイルに最適な部屋を見つけよう! さて、Webサーバーの入手方法について、いろいろ説明してきたが、 現実的に考えると、ほとんどの人が、 2.共有レンタルサーバー(バーチャルホスティング) を選ぶことになるはずだ。月額使用料も数千円〜と手頃だし、 事実、私もこの 1mouke.com を共有レンタルサーバーで運営している。 と言っても、実際にレンタルサーバー会社を選ぶとしたら、 その数や種類が多すぎて、どれを選んだらいいのか迷うだろう。 そこで次回は、どのような視点で、選ぶべきレンタルサーバー会社を 比較、検討すればいいか、その具体的手法について述べる。 続き → 05. 実践!レンタルサーバー探しの極意 |
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