05. 認知的不協和と価格の関係 |
あなたは、 「おいしいラーメン屋があるんだけど、 一緒に行かない? 絶対においしいから!」 という言葉につられて、たいして旨くないラーメンに 付き合わされた経験は無いだろうか? 私は2回ある。 でも、誘われた手前、マズかったとは言いづらいから、 なんとか自分の中で「旨い」ということを正当化するために、 次のような心の会話が展開される。 --------------------------------------------- 『 味はたいしたこと無かった・・・ 』 『 でも、友達は旨いといっている・・・ 』 『 実際、店内は満席だったし、並んでいる人もいたし・・・ 』 『 ということは、やっぱり旨いのか・・・でも・・・ 』 『 もしかして、俺の舌が悪い?安モノの舌なのか? 』 『 ・・俺って味オンチ!? 』 『 ・・・確かに、言われてみれば、旨いような気もする・・・ 』 → 結論 『 このラーメンは旨かった。でも俺には味は分からなかっただけ。 』 『 だから、このラーメンが旨いという事実に間違いは無い! 』 --------------------------------------------- このように、自分の中に、 「友達は旨いと言っている vs 自分はマズいと思った」 という感情的な矛盾が発生すると、 気持ちのバランスが崩されて不快になる。 そして、そのバランスを修正するために、自分の感情を 理論的にコントロールしようとする心理的作用が働く。 これを、心理学用語で「認知的不協和」と呼ぶ。 つまり、 ・ 店内に客が多かった ・ 並んでいる人もいた という事実(理論)によって、「マズイと思った」という自分の 感情を抑圧してしまったのである。 しかし本来なら、客が多いことと、そのラーメンが旨いかどうか?は、 何の関係も無い。どんなに客が多かろうが、自分がマズいと思ったら、 その感情は誰が何と言おうと正しいはずだ。 人は誰もが、買い物における決定について、 「感情で決定し、理論で正当化する」と言われている。 つまり、理論は後付けなのである。 そして、この認知的不協和は、 商品価格と商品満足度の関係にも大きく影響する。 例えば、ここに2つの商品が陳列されているとする。 1.値段は高いが、いまいち映像が美しくないテレビ 2.値段は安いが、とても映像が美しいテレビ あなたは、この2つの商品を、店内で見比べている時、 どんな感情を抱くだろうか? 私なら、次のような心の会話を展開する。 --------------------------------------------- ■高いテレビを見て 『 なんで映像が悪いのに、こんなに高いんだ? 』 『 もしかして、すごい隠し機能が付いているのか・・・ 』 『 でも、そんなに凄いテレビなら、映像の美しさにも拘っているに違いない! 』 『 ・・・そうか!きっと電波状態が悪いだけだ! 』 → 結論 『 このテレビの映像は美しい。が、この店への電波状態が 悪いので、今は映りが悪い。 』 --------------------------------------------- ■安いテレビを見て 『 こんなに綺麗に映るのに、なんでこんなに安いんだ? 』 『 もしかして、何か致命的な欠陥があるのか・・・ 』 『 いや、待てよ・・・ この映像って、本当に綺麗だろうか? 』 『 ・・・そうか、いつも見ている自宅のテレビの映りが悪いから、 このテレビが良く見えただけだ! 』 → 結論 『 自分の目が映りの悪いテレビに慣れていたから、 錯覚で綺麗に見えただけ。 』 --------------------------------------------- 商品には、必ず適正価格というものがある。 安ければ安いほど良いという単純な問題ではない。 あなたは、1円の携帯電話を欲しいと思うか? 私ならタダでもいらない。ゴミ同然だ。 だから、あなたが売りたい商品を、あまりに安くしすぎると、 それが本当に良い商品だったとしても、 「安い(から悪いはず) vs 良い(なら高いはず)」 という心理的矛盾が発生するので、認知的不協和の作用で、 その商品の欠点を探してしまう。 つまり「安いんだから、どこか悪いところがあるはずだ!」 という感情を正当化するために、論理的に粗捜しをするのだ。 逆に、値段をある程度高く設定すれば、 「高い(から良いはず) vs 悪い(なら安いはず)」 ということになり、その商品の良いところを探そうとする。 事実、価格を上げたとたんに売れ出したというネットショップの例もある。 最近では、徐々に価格を上げていく手法も使われ始めている。 安すぎず、高すぎず。 その商品の適正価格を考えるのは非常に難しい。 これは「プライシング」と呼ばれる技術だが、最も効果的な方法は、 商品価格を定期的に少しずつ変化させながら、 その売上の推移を計測するというやり方だ。 単純に考えれば、価格を半額にして、販売数が2倍以上に 増えれば、その価格設定は成功したと言える。 逆に、価格を2倍にして、販売数が半分に減ったとしても、 配送や顧客管理のコストも半分になっているので、結果として 売上は増えているはずだ。 ドン・キホーテのように「安売りで勝負」するビジネスもあれば、 銀座の高級クラブのように「金持ちしか相手にしない」ビジネスもある。 あなたのネットショップは、どちらのやり方で勝負したいだろうか? 成功のポイント : 値段を安くしすぎると、粗捜しをされる。 さて、この認知的不協和が発生する根本的な原因は、 「心のバランスを崩されること」である。この考え方はとても大切だ。 心のバランスを崩された人は必ず 「そんなわけない!そんなはずはない!ありえない!」 という反発心を抱く。 人は誰もが「自分こそが正しい!自分の考えは間違っていない!」 と思いたいから、それに逆行する異質な状況や言論に反抗してしまう。 しかし、実はこの反抗心を巧みに利用することで、 ある特定の商品や情報に興味を持たせることができるのだ。 だから、この手法を使えば、メールの開封率や、リンクのクリック率が 確実に上がるのだが、その具体的な方法については次頁で説明する。 続き → 06. 読まずにはいられなくなるキャッチコピーの書き方 |
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