02. Webサーバーって何ですか?(後編) |
あなたには、自分のパソコンをWebサーバーにして 全世界に公開する勇気があるか? あなたのパソコンがWebサーバーになるための条件、 条件1: グローバルIPアドレスを固定的に割り当てられて、インターネットに常時接続されている。 条件2: apache(アパッチ)などのサーバーソフトがインストールされ、起動中である。 で、グローバルIPアドレスについては前編で述べた。 では、もう1つの条件、 apache(アパッチ)などのサーバーソフトがインストールされ、起動中である。 とはどういう意味か? apache(アパッチ)とは、簡単に言えば、あなたのパソコンが、 「いつでもかかってこい!という戦闘準備体勢」になるためのフリーソフト である。 誰が「かかってくる」のかと言うと、それは、 あなたのWebサーバーにアクセスしてくる人だ。 かかってくる = アクセスしてくる である。 もし、あなたのWebサーバーが大人気 (正確に言うと、あなたのWebサーバーのハードディスクに入っている HTMLファイルや画像などのコンテンツが大人気) になって、1日に数万アクセスも来るようになったとしたら、 それはつまり、 あなたの家に、毎日数万人のチンピラが訪問し、 あなたをボコボコに殴ろうと襲い掛かってくる! ということだ。例えば、あなたが以下のリンクをクリックした瞬間、 http://www.yahoo.co.jp/ (新しいウインドウが開きます) この瞬間、あなたはチンピラになり、Yahoo! のWebサーバー に襲い掛かったのである。 つまり、Yahoo! のWebサーバーのハードディスクに保存されている index.html つまりHTMLファイルを覗きに行って、勝手にダウンロードしてきたのである。 Yahoo! のWebサーバーは、このように 毎日数百万人からボコボコにされているのに、 いつも落ちることなく元気だ。スゴイ! でも、あなたはまだそんなに強くない? だったらもっと鍛えなければ!と思ったら、 あなたのWebサーバーのメモリを増設したり、 CPUを高性能にしたり、ハードディスクを増設したりすればよい。 体を鍛えるのだ。 でも、それでもあなたが臆病者で、 自分の家の玄関のカギを開けなければ、 チンピラは家の中に入ることができない。襲って来れない。 つまり、Webサーバーにアパッチをインストールして起動するということは、 「あなたの家の玄関のカギを開ける」ことに相当する。 「さぁいつでも誰でもいらっしゃい!」って。 つまり、冒頭の条件で言うならば、 条件1: グローバルIPアドレスを固定的に割り当てられて、インターネットに常時接続されている。 → あなたの家の住所(ホームページアドレスつまりURL)を全世界に公開すること。 条件2: apache(アパッチ)などのサーバーソフトがインストールされ、起動中である。 → あなたが「いつでもかかって来〜い!」と叫びながら、玄関のドアを開けっ放しにすること。 である。 だから、両方の条件を満たさないと、Webサーバーにはなれない。 住所を公開する(グローバルIPアドレスを取得する)だけではダメで、 玄関のドアを開けて初めてWebサーバーになれるのだ。 しかし、玄関のドアを開けっ放しにするのは、とても勇気がいるだろう。 もしウイルスが侵入してきたらどうしよう? ハッカーにデータを破壊されたら? だから、Webサーバーには万全のセキュリティー対策が必要である。 あなたも聞いたことがあるかもしれないが、ファイアウォールというのは、 セキュリティーを強化する具体的対策の1つだ。外部からの不正な侵入を ガードしてくれるのだ。 このように、Webサーバーを公開する(自分の家のドアを開けっ放しにする)のは、いろいろなリスクが伴うから、ほとんどの人は、自宅のパソコンをWebサーバーにするのは諦める。だからレンタルサーバーやプロバイダの無料HPスペースを使うのだ。 それはつまり、 「既に玄関のドアを開けっ放しにしている家の部屋を間借りする」 ということ。ルームシェアと言ってもいいだろう。 ちなみに部屋とは、Webサーバーではフォルダ(ディレクトリ)のことであり、 家全体の広さ(平米)は、Webサーバーではハードディスク容量(ギガバイト)である。 そして、あなたは自分のホームページを更新するときに、 FTP(ファイル転送)を実施するだろう。アップロードとも言うが、 これはつまり、自宅の荷物(ファイル)を、間借りしている部屋に運ぶことだ。 つまり、自分のパソコンのハードディスクに入っているHTMLファイルを、 Webサーバーのハードディスク(の中にあるあなたの間借りフォルダ)にコピーするのだ。 では、apache(アパッチ)というフリーソフトにはどんな機能があるのか? たくさんの便利な機能があるのだが、例えば アクセスログを記録してくれる という機能がある。これは、あなたのWebサーバーに対する、 すべてのアクセスについて、その履歴を記録してくれる機能である。 ようするに、あなたの家の玄関に「監視員」が立っていて、 誰が(どんなチンピラが)?いつ(何時何分)?どの部屋(フォルダ)に入ったか? を全部記録してくれるのである。 アパッチをインストールすれば、この「監視員」が無料で付いてくるのだ。 さて、ここで1つの疑問は、 『誰?って、どうやって識別するの?』 である。 チンピラの場合、服装や見た目でだいたい分類、識別できる。 では、インターネットアクセスにおいては、 数万〜数百万人からのアクセスを、どうやって 「どれが、誰?」って識別しているのだろうか? まず、グローバルIPアドレスがある。 グローバルIPアドレスは、世界中でダブらない、ただ1つの番号 であるから、それで相手を識別、分類することは可能だ。 だからアクセスログには「アクセス元の端末のグローバルIPアドレス」が記録される。つまり、電話で言えば、ナンバーディスプレイで相手を識別できるのと同じだ。 しかしそれだけでは完全には分類しきれない。 プロバイダが貸し出すグローバルIPアドレスの番号は毎回異なるからだ。 同じパソコンからのアクセスでも、昨日と今日では、既に番号が変わってしまっている。 だから、cookie(クッキー)という仕組みがある。 ここでは詳細は述べないが、ようするに、 2回目以降のアクセスで、 「○○さんようこそ」 と表示させる。 というような機能を実現するための仕組みがクッキーだ。 「どれが、誰?」というのを識別するのに使われるルールである。 ここでキーワードになるのが HTTPリクエスト という言葉。 つまり「チンピラ」のことだと思ってくれればいい。 現実世界では訪問者を「チンピラ」と呼び、 インターネットの世界では「HTTPリクエスト」と呼ぶ。 チンピラ = HTTPリクエスト ようするに、 1人のチンピラが来る = 1件のアクセスが来る = 1つのHTTPリクエストが飛んでくる である。 HTTPリクエストさん、いらっしゃ〜い! そして、このチンピラは全員、「帽子」をかぶっている。 必ずかぶっている。かぶらなければならないルールになっている。 その「帽子」のことを 「HTTPリクエストヘッダ」と呼ぶ。 そして、この帽子には、いろんな情報を「仕込む」ことができるのだ。 あなたは「こいつは要注意!」と思ったチンピラの帽子にマジックで 「こいつは要注意人物です!」と落書きすることができるのだ。 そうすれば、次に来た時は「あっ!また来たな!」って分かるからだ。 cookie(クッキー)の実体は、テキストファイルである。 Webサーバーがブラウザにクッキー情報を書き込むという処理は、 あなたがチンピラの帽子に落書きするのと同じだ。 もちろん「俺の帽子には落書きさせたくない」というチンピラもいるだろう。 その場合は、ブラウザの設定で「cookieを無効化する」を選べばよいし、 「cookieを削除」をクリックすれば、落書きを消すことも可能だ。 まとめると、 HTTPリクエストを受けたWebサーバーは、 HTTPリクエストヘッダー(帽子)に記述されているクッキー情報(落書き)を読んで、そのHTTPリクエストが「誰か?」を判断する。 ということになる。さらに補足すると、 はじめて来たHTTPリクエストの帽子(ヘッダー)は真っ白で何も書かれていない。落書きするかしないかは、Webサーバーの自由である。 帽子の落書きを消したり、帽子に落書きできないように細工するのは、 ブラウザ(Internet Explorer や Netscape など)の仕事である。 ということになる。 さて、 何度も出てくる「HTTP」(Hypertext Transfer Protocol)とは何か? これは通信規約の一種であり、プロトコルとも言うが、ようするに、 「インターネットでHTMLファイルをやりとりするときの法律」 である。つまりルールである。決まり。決め事。 そして、ルールに違反している奴は相手にしなくてもいい(無視してもいい) ことになっている。 ルールの内容はいろいろあるが、例えば、 「チンピラは帽子をかぶらなければならない。 その帽子のかぶり方は・・・云々」という具合だ。 つまり 「HTTPリクエストにはHTTPリクエストヘッダを正しく設定しなければならない。その設定方法は・・・云々」 である。 だから、帽子をかぶっていないチンピラは門前払いをする。 「チンピラは帽子をかぶらなければならない」というルールに違反している奴、 つまり、HTTPという法律(ルール)において、 「HTTPリクエストヘッダーを正しく設定していないHTTPリクエスト」 は異常と見なし、相手にしなくていいことになっている。だからアパッチに門前払いさせるのだ。 もっと身近な例で言えば、リンク切れやアドレス入力ミスで、 『ページが見つかりません』 と表示されることがあると思うが、その時、 その画面の下の方に、 HTTP 404 - ファイル未検出 と表示されることに注目してほしい。 これは、HTTPというルールにおいて、 「もしページが見つからなかったときは 404 という番号で応答しなさい」 という約束があるからだ。ちなみに、 ページが見つかった場合(つまり通常時)は 200 で応答する決まりになっている。 このようなルールを監視し、運用するのがアパッチの仕事だ。 以上で、apache(アパッチ)とは何か? がなんとなく見えてきたと思う。 さて、 「よーし、俺も自分でWebサーバーを作るぞ!」 と思ったあなたには、「ちょっと待った!」と言いたい。 もちろんアパッチはフリーソフトだから、誰でもタダで ここから → http://www.apache.jp/ (新しいウインドウが開きます) ダウンロードできる。 しかし、アパッチが上手に働いてくれるようにするためには、 いろいろ「調整」しなければならない。 httpd.conf というファイルをチューニングする必要があるのだ。 この作業は、それなりの専門知識と「慣れ」が必要である。 「アパッチでWebサーバーを構築するには?」という内容だけで、 一冊の参考書が出来上がるほどのボリュームだ。 だから、あなたに知識や経験、そして時間的余裕が無ければ、 やはりWebサーバーの構築、維持、管理については、 外部委託する方法が最適かもしれない。 つまり、Webサーバーを運営するということは、 「それだけでカネを取れるビジネスになる」のである。 だからレンタルサーバーやホスティングサービスを実施する企業が増えている。 「じゃあ、俺もアパッチに詳しくなれば、 レンタルサーバー会社を作れるのかい?」 と思うかもしれないが、その答えはYesだ。 だから、個人や少人数でレンタルサーバー会社を運営しているケースも多い。 しかしながら、 ・ 24時間365日、サーバーが落ちないように監視する ・ もしトラブルが発生した場合も、すばやく復旧できる体制を整える というのは、かなり大変な仕事だし、難しい。 ただ単にパソコンを買ってきてアパッチをインストールすればいいというレベルではない。 いつも不安定でつながりにくいWebサーバーなんて、 誰も使いたくないでしょ? つまり、その安定性の違いが、サービスの違いとなる。 だから、Webサーバーを選ぶときは、絶対に価格の安さだけで選んではいけない。 成功のポイント : Webサーバーの構築と運営には、それなりの知識と経験が必要である。 さて、ここまで読んだあなたは、 「やっぱり自分でWebサーバーを公開するのは無理」 と思ったかもしれない。 その場合は、レンタルサーバーを借りるか、 プロバイダの無料HPスペースを使うなどの方法を選ぶしかない。 つまり「間借り」するのだ。 ただし、レンタルサーバーを選ぶときに、注意しなければならないのは、 そのサーバーの稼働率つまり安定性を正しく見極めるということだ。 よく「サーバーが繋がりにくい」とか「落ちている」という状態に遭遇する人は、 そのサーバーがどんな環境で運用されているのか?を知らなければならない。 そして、物理的に「どこに設置されているのか?」も重要である。 世界中のどこかに、そのWebサーバーの本体(ハード)が必ず存在する。 もしかしたら海外に設置されているかもしれない。 では、そもそも「サーバーが落ちる」とは、どういった状態なのか? その原因は何なのか? この仕組みを理解すれば、 あなたはもうサーバー選びで失敗することは無いだろう。 続き → 03. サーバーが落ちるってどういうこと? |
メール会員登録(無料) ひと儲けドットコムの更新情報を無料でお知らせしています。いつでも解除できます。 |
ホーム > Webサーバー > このページのトップへ
Copyright (C) 2004 ひと儲けドットコム All Rights Reserved. お問合わせ | サイトマップ